力を入れ過ぎたり、大きく歯ブラシを動かしていると歯肉が後退して歯の根が露出してきます。
また歯周病の改善において、すでに消耗した歯槽骨(歯の根を支える顎骨)に合わせ、歯肉が引き締まってくると、やはり歯根が露出してきます。
エナメル質のような、硬い組織で覆われていない歯根表面に刺激が加わると、チリチリとかツンとした感覚が生じます。これが知覚過敏です。
シュミテクトのような有名な歯磨き剤で症状が軽減すればよいのですが、なかなかすぐに結果が出ないこともあるようです。
院内では、歯根表面をきれいにして、薬剤を染み込ませたり、コーディングしたりして、症状を抑制するのが主な治療法です。
しかし、一回では効果が得られないことも多々あります。
(その証拠といってはなんですが、いろいろな種類の薬剤が現れては消えていっています)
あまりに症状が厳しい時には、接着剤を用いて、白い樹脂(光重合レジン)を過敏な部分につめます。
さらに激しい症状の時には、神経を取る歯内療法を行う場合もあります。
(かつて、冷たいビールをおいしく飲みたいから神経をとってくれと言われたこともありました)
小さい虫歯を取り除き、つめて治す
セメント(合着剤)やボンディング(接着剤)を利用して、
・レジン
・金属
・ハイブリッド
・セラミック
これらを虫歯を取り除いた部分に詰めます。
○つめる材料について
・温度(冷〜熱)
・化学(酸〜アルカリ)
・物理(柔〜硬)
さまざまな食物・飲物が口の中には入ります。
咬む時には、1本1本の歯に数10キロの力が加わります。
元々、口腔内常在菌の他にも、食物などを介して種々の細菌が入ってきます。
このような厳しい口腔環境に耐えられる以下のような材料が使われていますが、一長一短があります。
○レジン
・低侵襲治療の面から、使われる頻度は高くなってきています。
・白い樹脂(丈夫なプラスチックのような材料)
・保険適用
・粘土状のこの材料をボンディングを塗った窩洞(虫歯を削った部分)に詰めて成形し、光を照射して固めます。(光重合)
・光を照射しないで固まる化学重合タイプもあります。
・以前に比べ、耐久性も増しましたが、大きい虫歯には適さない場合があります。
・豊富な色があり、個々の歯の色に合わせられるようになります。
・歯を削る量は少ないです。
○金属
・耐久性においては、レジンよりも高いです。
・保険適用の金属は12%金を含有すう金銀パラジウム合金になります。
・非保険治療(保険外治療、自費治療、私責治療)においては、精度・硬度・抗菌性・物質安定性の面から、貴金属(金や白金=プラチナ)の含有の多いもので作られることが多いです。
保険の金属やセラミックに比べて削る量は少なくて済むので、奥歯の目立たないところなどでは、純度の高い貴金属を使用する先生が多いです。(私も好きです)
・金属(メタル)アレルギーの観点からメタルフリー(金属を使わない治療)を提唱されているので、以前より使用は少なくなりました。
(純貴金属では歯に適した物性が得られないので、使用される金属の多くが合金です。貴金属以外の成分がアレルギーの原因ではないかとも言われています。)
・型を採る→模型を作る→ワックスパターンを作る→鋳造する(キャスティング)という工程を綴るため、時間を要します。
・見かけが銀・金色で目立ってしまいます。
・つめるというより、はめ込むタイプで入れる時の方向性が必要になります。また、鋳造の精度を保ち、はずれにくくするために一定の深さや維持形態が必要で、レジンの時よりも切削量が多くなりやすいです。
○ハイブリッド
・レジンとセラミックの中間的材料です。
・保険適用の場合と非適用の場合があります。
・レジンより耐久性は良い。表面の滑らかさなども良い。
・セラミックより廉価ではありますが、透明感、色、艶がややあります。
・金属より切削量は多い傾向にあります。
・型を採り、模型上で製作されますので、金属同様に日数を要します。
・工業生産されたハイブリッド・ブロックをCAD/CAM(3Dプリンターのような器械)で設計・切削して製作することが可能になり、精度も向上してきています。
・大きい虫歯に対して、歯の全周を削り、かぶせることを選択した場合、小臼歯に対しては、CAD/CAM冠が2014年(平成26年)4月より保険適用になりました。(当院では、技工所との連携により、同年7月より行っています。)
また、2016年(平成28年)4月より、医科・病院・診療所での診断書を書いていただいた金属(メタル)アレルギーのある方に対しては、大臼歯(奥歯)に対してのCAD/CAM冠が保険適用になりました。
ただし、大臼歯に保険でCAD/CAM冠を応用した場合、その後に小臼歯への応用は保険ではできないので、レジン・ジャケット冠を用いることになります。
根管治療(歯の神経の治療)
深い・大きい虫歯では、細菌が歯の神経に侵入しているので、根管治療が必要になります。
場合によっては、根管から骨にまで侵入してしまい、激しい痛みや周りが腫れてしまうケースもあります。
・神経(歯髄)を取り根管を清掃・拡大・消毒・密封する
・根の先(根尖、神経の出入り口)にできた病気(膿み)に対し、
根管を通して薬を作用させて治す
歯肉炎・歯周病(歯槽膿漏)の治療・歯磨きのレベルアップ
・歯垢・歯石の除去
・歯冠・歯根のクリーニング・ポリッシング(研磨)(PMTC)
・歯ぐきや歯根を支える骨(歯槽骨)を整える処置
・ レーザー治療の応用
5-1.クラウン:大きい虫歯や神経の治療後にかぶせて治します
(さし歯と表現される方が多いようです)
金属・白い樹脂・セラミック などを単独・複合的に用います。
5-2.ブリッジ:歯の無い部分と周囲の歯とを、一体型の製作物(技工物)によりつなげて治す 固定式
接着ブリッジ(周囲の歯の削りを少なくして、強力な接着剤でつなげる)
5-3入れ歯:義歯 取り外し式
・部分義歯 入れ歯本体または残っている歯や根に義歯を安定させる装置を付ける
(クラスプ・アタッチメント・マグネット)
・総義歯 歯ぐきと入れ歯の密着(吸盤の効果)や筋肉の働きを義歯を安定させる力として利用する